突然ですが、あなたのお気に入りの場所はどこですか?
なぜその場所へは何度も足を運ぶのでしょうか?
今回は観光地やお店、サービスなどリピーターが生まれるための条件について解説していきます。
持続可能な地域づくり
私は地方創生とよく言われるような、地方の魅力を発信する仕事をしています。
そんな中で,いつも考えているのが「持続可能な地域づくり」についてです。
私が住んでいるのは長野県の白馬村という観光業が盛んな地域です。
観光地における持続可能な状態とはどのようなものでしょうか?
最近ではSDGsという取り組みも広く知られるようになり,「持続可能性(サスディナブル sustainable)」という単語も馴染みがある人も多いと思います。
持続可能な状態とは経済が安定して回っている状態を指します。
経済というのはお店を構えてサービスを提供しているだけでは成り立ちません。
なぜならその商品を買ってもらうお客様がいて、初めてお金が動くからです。
観光地においていうと、旅館や、飲食店などがあるだけではなく、観光客が来て、様々なサービスを利用して初めて観光地の経済が回り始めます。
つまり観光地にとっては、お客様の流入数が観光地の明暗を分けると言っても過言ではありません。
PRすれば人は集まる
PRつまりプロモーションに力を入れればお客様は集まります。
力を入れるというのは例えば、広告を打ったり、イベントを企画したり、TV番組を招致したりして、その地域で提供しているサービスに興味がある人に向けて情報を届けることです。
しかしながらPRというのは、多かれ少なかれお金がかかります。
よくある例が国の補助金、例えば地方創生推進交付金など自治体に割り振られた補助金を利用し、広告を打ったところ、多くの訪問客がやってきたが、翌年、PRにかける予算がなくなって広告を打てなくなると途端に客足が途絶えてしまうというもの。
まさに金の切れ目が縁の切れ目というやつです。
PRにかける予算があるのであれば、もちろん広告を打って客寄せに力を入れることは否定しません。
しかし、PRでお客様が来ている状態は、持続可能な状態ということが言えるのでしょうか。
リピーターを生み出してこそ持続可能な状態
PRに釣られてきているお客様というのは、言い方は悪いかもしれませんが所謂ミーハーな客層です。
例えば「景色が良い観光地」「料理が美味しいレストラン」「泉質の良い温泉を売りにした温泉旅館」。
PRに力を入れ魅力的なコンテンツを魅せることで人は引き寄せられます。しかし、よくよく考えてみてください。
世の中「景色が良い観光地」「料理が美味しいレストラン」「泉質の良い温泉を売りにした温泉旅館」は、そこだけですか?答えはNOです。
当たり前ですが、「景色が良い観光地」「料理が美味しいレストラン」「泉質の良い温泉を売りにした温泉旅館」は日本中に山ほど存在する中の1件でしかないのです。
お客様は「1度は行ってみたい観光地リスト」の一つに✅をつけたに過ぎません。
1度行って満足したら、次に目についた観光地へと行ってしまい2度と帰ってきてはくれません。
あなたが、持続可能なサービスを提供したいのであれば、最も力を入れなければいけないことはPRではありません。ファンづくりです。
「あの人にまた会いたい」という感情がリピートを生む
私はコロナ禍が始まる前は、カナダへ毎年1~2回は行っていました。
というのも、20代の頃に4年間ほどカナダに住んでいたことがあり、現地には知人がたくさんいます。やはり母国を離れて海外で生活していた期間に出会った人というのは、私の人生に大きな影響を与えてくれた人も多く、今でもたまに連絡を取り合っている中の友人がいます。
もちろんカナダという国そのものが好き、という事実もありますが、私がカナダへ帰る目的はまさに、その友人に会うためなのです。
また、地元を離れて上京している人や、地方への移住した人なども多いとは思いますが、定期的に地元へ帰っているという人かなり多いと思います。
なぜ帰るのですか?
それは家族や友人に会うためではないでしょうか。
逆に家族や友人がすでにその街から引っ越し、仲良くしている人がいなくなってしまった場合、あなたは地元へ帰履帯と思うでしょうか?
きっと答えはNOだと思います。
つまり、人は親しい人に会うために行動するという動機がある生き物なのです。
話を元に戻させていただきます。
例えばあなたのやっているサービスのPRをせっかく打ったのであれば、そこで来てくれたお客様に対してどのように接していますか?
最悪なのは忙しさのあまり、おもてなしが疎かになってしまうこと。
あなたはせっかく来てくれたお客様に、あなたの人となりを曝け出し、楽しんで帰ってもらいたいという最大級のおもてなしをすることこそ、あなたがしなければいけないことではないでしょうか。
100人のお客様の中から1人でも、あなたを気に入ってファンになってくれる人がいれば、その人は間違いなくまた帰ってきてくれることでしょう。
今も地方の古びた民宿が、細々と営業している姿を目にしたことがある人も多いと思います。
そう言った民宿はまさに、毎年帰ってきてくれるお客様のために、やり続けているところが多いです。
おそらくそこの宿の女将さんと話すのを毎年楽しみにしている、常連さんがついているのでしょう。
そう言った、現地の人のファン作りこそ、地方の観光地を持続可能なものにするために、必要なことではないでしょうか。
そういう旅館の女将、そういうレストランのシェフ、そういう売店のスタッフがひとりでも増えるこ。
観光客と地元民の接点を作ること。それこそが地方観光の未来だと私は考えています。
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